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写植の現場から
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 出版印刷業界の一員として、写植の日常の現場で何が起きているのか、何を追求していったらいいのかを模索し、ネットワークを広げていくための不定期コラムです。
 みなさまのご意見、ご感想をお寄せください。

発注する側の自己責任

(株) Station S 代表取締役社長 関根知之

●執筆者が交代しました

 弊社のサイトを立ち上げたときから、出版部長・岡田がコラムを担当して、写研製版・組版のこと、DTPとの関連のことなど、10回にわたって述べてきましたが、今回より小生がプリプレスの現場で起きている出来事について、私流に考えていることを書いてみることにしました。
 いろいろな条件が複雑にからみあっているものを、なるべく簡単に書いてみようと思います。あまりにも簡単すぎると、誤解されても困るなあ、と思いますが、お叱りなどはメールなどで送信して下さい。

●テキストデータの入稿

 新聞、テレビなどで、今日ほど「自己責任」を声高にいっている時は、今までにないように思います。今回は私どもが受け取る入稿データについて考えてみます。
 データ入稿には主に(1)テキストデータとしてFDをもらう、(2)図版データとしてMOをもらう、ことが日常茶飯事のように繰り返されています。
 (1)のテキストデータの場合はほとんどがMS-DOS(もしくはウインドウズ形式のテキストデータ)です。
 書籍用のデータと雑誌用のデータに大別されますが、今回は書籍用のデータに限定してお話ししますと、データを文字組版(文字の大きさ、一行の字詰め、一頁に入る行数、見出しの書体や体裁など)しやすいように加工して、写研のSAPCOL(サプコル)で、皆さんが読むのと同じような一頁ごとに組版して初校として出校します。

 初校もどしのゲラがまっ赤になって帰ってきます。言い回しを変える、ルビを振る、語句を統一する、などが主で7:2:1ぐらいの比率になるでしょうか。このうちルビを振る作業は、一般的に私どもで行う仕事ではありますが、場合によっては、皆さんがやる方法はあるのです。これらの直しはとても大変で、赤字指示のないところを直さないように、と目を皿にしてやっています。「赤字以外は見ないのだから」と事あるごとに言われます。

 しかし、この作業にかかる費用は、その作業料に見合うだけの報酬はもらえないのです。
 世間ではITだとか、デジタルだとかいうと、これだけで最先端のことをやっていて、早く、安く、出来るだろうと思っているらしいのですが、そのデータを自分たちのパソコンでも見られるし、こうなったからこそ、自分で入力してデータを作れるようにもなったのだから、前述した初校もどりの赤字訂正などは私ども業者にデータを渡す前に、もう一回推敲することで大半はなくなるものだろうと思います。こうすることで再校出校・責了時の直しなどすべてが早く、まちがいの少ない作業で進むことでしょう。
 ITだ、デジタルだ、という前に、自分の工程の中で作業改善をするところがないかを考えて、アナログ時代の作業方法を変えることに立ち上ってもらいたいと思います。これでこそ、自分の支給テキストデータに対する責任をまっとうした、自己責任をはたしたということではないでしょうか。

●図版データの入稿

 次に(2)の図版データをMOで支給してもらうことについて述べます。
 私どもの会社は、写研製の専用組版機で仕事をしています。支給されたデータはいくつかの工程を経て写研の内部データに変換します。これもひと仕事なのです。
 支給されるデータは、マッキントッシュかウインドウズで作られています。ともに、いろいろなバージョンが存在します。
 その昔、私どもの業界でも、ワープロの時代がありました。富士通のワープロにはバージョン変更が多く、そのソフトに対応する変換ソフトを用意するのに大変でした。
 現在のマッキントッシュとウインドウズが、まさにその通りで、バージョンアップのソフトが売り出されると同時に、それを使ってくる人もいれば、旧バージョンで支給してくる会社もあります。作業する皆さんのところで使う文字(フォント)が多種多様なため、私どもですべてを用意しておくことは不可能です。
 さらに支給された図版データに赤字が入り、多数の直しをさせられることもあります。私どもで使いなれないマッキントッシュやウインドウズでその直しをするのですから、能率も悪く、事故の発生も心配しなければならないのです。こういうわけで、支給された図版データの修正は不得手だと言うと、他社ではやってくれるのに、サービスが悪いと言われます。
 この直しも、テキストデータと同じで、お金になりません。

 話をわかりやすくするために、ちょっと特殊な例をあげて説明します。
 ベンゼン核の構造式の図の下側に、図の説明のための表組があるとします。MOで支給されるものは構造式も表組もともに支給品と見なされてきます。しかし初校もどしゲラには表組の中の数字の桁を揃えなさいなどの指示が入っています。これをマッキントッシュやウインドウズで直すのが大変困難なことは皆様すでに経験のことと思います。これが写研の文字ならすぐに直せます。
 ということは、ベンゼン核のみを図版データとして使用し、表組は写研の文字で、と指示していただけるのなら、どんな直しにも対応します。すなわち、誰もが出来ない専門知識の必要なものは完全なものを支給していただき、あとは指定だけを入れて組版会社に任せるような発注をしていただけるならば、これが最良の方法だと思っています。

 このようなわけでデータを支給するなら、完全なものを支給してもらいたいと思うのはまちがいでしょうか。完全データにして渡すことが「自己責任」をはたしたことになるのではないでしょうか。そのようなことを感じながら事故やミスが起きないよう、弊社は弊社の自己責任をはたすようにと毎日指導しています。

(2001/9/19発表)
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本コラム内容の無断引用、転載を禁止します。

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